激・桃隆の徒然なる日記&雑記

日常の話やら趣味の創作の話やらを徒然なるままに語っていきます。

 

紅蓮の死神 ~Bright Red Death~ 1.復讐の少女傭兵(後) 

また2ヶ月近く間が空きましたね……ええ……もう……(;´Д`)
ってな訳で、ようやくアリオスト小説の続きですー。
これで起承転結の起が終わった……つもりです(あくまで「つもり」)。
尚、リーアメインだとあまりにもモチベが湧かないという事で、
若干路線変更気味な感が拭えませんな。
あと、今回の小説内でアリオストのネタ要素は一切期待すべからず。
偽扱い上等じゃぁぁぁぁぁーーー!!←

ではでは、続きよりどぞ!


拍手どうも有難うございました!


 ツォーレ北の山には大して厳しい道は存在せず、また、野生動物も恐ろしいものは特に現れる事はなかったので、すんなりと山奥の方へ進んで行けた。途中で人攫いの一派も現れなく、アリオストの徒党についての推論は間違っていなかったようである。
「へー、こりゃ本当に楽そうな仕事だなー」
「ア、アリオストさんにとってはそうかもしれないけど……!」
 リーアは相変わらず緊張が解けないようだ。
「ああ、俺も一度通った道だな。最初に人殺しの仕事を請け負った時は、そりゃあ今の君みたいにガクガクしっ放しだったぜ」
「人殺し……!?」
「おいおい、今更か? 傭兵なんて人殺してナンボの職業だ、リーアもそれぐらい承知だろ?」
「う……」
 リーアの顔には冷や汗が浮かんでいた。
「お、地図によるとあの小屋だな、娘さんが幽閉されている場所は」
 話しながら山道を歩いている間に、アリオスト達は目的地に着いた。小屋の前には、厳つい顔をした醜男一人が剣を持って佇んでいた。どうやら、この男がティーナを誘拐し、身代金を要求した輩のようだ。
「ねぇ、アリオストさん、どうする? もう少し様子を見る?」
 そんなリーアの言葉を耳にし、アリオストは半ば呆れ、
「様子を見てどうだってんだよ。ンな事していたら埒あかねーじゃねぇか。さっさと行くぞ」
 と言って、リーアの手を引っ張り、男の目の前に行こうとした。
「ちょ、ちょ……!」
 慌てふためくリーア。刹那、誘拐犯の方も二人に気付き、
「ん? こいつらがちゃんと金持ってきた輩だろーな……?」
 と、手に持っていた剣を軽く振りまわした。
「おい、テメェが娘さんを攫った上に身代金要求したバカか?」
 アリオストの乱暴な言葉に、誘拐犯は一気に頭に血が上った。
「ゴチャゴチャ言うんじゃねぇ! この小屋にいるガキの命が惜しかったら、さっさと金寄越せやぁ!」
 小物臭丸出しの誘拐犯に対し、アリオストはせせら笑った。
「何が可笑しいんだよ!」
 その時、アリオストは不意にリーアの背中を押し。
「おい、あとはリーアに任せた」
「!?」
 緊張のあまり、アリオストと誘拐犯とのやり取りをただ傍観しているだけだったリーアは、突然のアリオストの後押しで、一気に顔が歪んだ。
「何なにィ!? 金寄越さねぇ上にこの女がオレの相手だと!? 舐めてんじゃねーよ!」
 誘拐犯の、ただでさえ醜男としか思えない顔が、更にデッサンを崩した。
「う……あ、アンタなんか、アタシが倒してみせるわ!」
 リーアの方も、覚悟を決めたように見えた。
「ザッケんじゃねぇー! 死ねやぁ!」
 誘拐犯は、頭に血が上った状態で、闇雲に剣を振り回し始めた。リーアはそれをひたすら避けている。なかなか攻めの手に移れない。
「…………」
 アリオストはただ、その様子を傍観しているだけである。
「フーン……。あのブサイク、あまりにも隙だらけじゃねぇか。俺だったら間違いなく瞬殺できるんだが、リーアはあの程度の相手に攻撃できないとは、なぁ。正直、ここまでヒョロいとは思わなかったぜ。いくら女の子とはいえ、一応プロだろ?」
 刹那、アリオストの周りの木々がざわめいた。
「おっと……」
 アリオストは瞬時に剣を振った。
「……!? ガ、ハ……!」
「何故、オレ達の気配を一瞬にして……グフッ」
 アリオストの周りに、二、三体程の人間の死骸が出来た。
「茶々入れるんじゃねー、ザコが。さて、徒党と思しき気配は消えたな。これでようやく観察に集中できるってもんだ」
 この男、周りに人間の死骸が転がっていようが、それを全く意に介していない様子である。
 そしてリーアの方はといえば、相変わらずの防戦一方のようだ。しかも、稀に誘拐犯の攻撃を避けきれなかったようで、あちこちリーアの体に血が滲んでいる。
(痛い……痛い……。何で、アタシ、こんなに弱いの……? アリオストさんが言うには『楽な仕事』なはずなのに、何でアタシはこんな相手すら倒す事ができないの……!?)
 リーアには、体の方だけでなく、精神面でも相当な疲弊が見え始めていた。この程度の力しかないのであれば、今までまともに仕事を任せてもらえなかったというのも頷ける。
(こんな調子で、本当に復讐できるというの、アタシは……!?)
 リーアに焦燥の翳りが見える中、とうとう尻もちをついてしまい、瞬間、誘拐犯の持っている剣の切っ先がリーアの喉元に向けられた。
「……!」
「ケッ、差し詰め傭兵駆け出しのようだったが、残念ながらテメェもここで運の尽きだったなぁ! あの色男も高が知れているってやつだぜ!」
「クッ……」
「金持ってきた雰囲気ねぇ上にオレを倒そうって度胸だけは褒めてやるぜ。とりあえず、死ね! あの男もすぐにあの世に送ってやる、オレの慈悲に感謝しな!」
 リーアの顔が恐怖に歪んでいた。目を大きく見開き、そこから涙をあふれさせ。
(ア、アリオストさん、助けて……!)
 心の中で、アリオストに救いを求めた。
 そんなリーアの想いに呼応したのか、アリオストは目を顰め、
「……こんなもの、か」
 と、いよいよ重い腰を動かした。
 そして、誘拐犯が剣を振り下ろした、その途端。
「!」
 誘拐犯は、剣を落とし、手を押さえて悶え始めた。
「グァァァァ、痛ぇ……! お、おい、男、オレの手に石ぶつけやがったな!」
 確かに、誘拐犯の足元にはそれなりの大きさの石が転がっていた。
「アリオストさん……!」
「あーあ。こんな三下、何でこの俺ほどの戦士が殺らなきゃいけねーんだ」
 アリオストは、リーアすら感じ取れる、恐ろしいまでの殺気を放っていた。
「おい、ブサイク。冥土の土産に教えてやるぜ? 俺はな……」
 鬼気とした双眸、佇まい。それは、まるで――。
「〝紅蓮の死神〟アリオスト・シューレンだ!」
「! ぐ、ぐれん、の……」
 誘拐犯の言の葉の最後を待たぬまま、その首は宙へと飛んだのだった。
「…………」
 リーアは、アリオストの気迫に圧され、全く立ち上がれそうもない様子である。
 そして、リーアは仄かに心が揺らいだ。

 アリオスト・シューレン。
 そう、この男は――。

「おい」
「!」
 脂汗で体中湿っているリーアへ対し。
「……傭兵という仕事がどういうもんか、分かったろ? で……」
 あまりにも残酷かつ現実的な、次の一声は。
「本当に、いずれ復讐を果たすんだろうな……?」
「……!」
 リーアは、二の句が告げられない。
「……君が落ち着き次第、ここを去るぜ。ツォーレの村を経た後ライネルの町まで数時間歩いて、報酬を受け取るんでな」
 アリオストは、小屋の方へと向かっていった。
「おーい、ティーナちゃん、もう大丈夫だ、お兄さん達と一緒に帰ろうなー」
 その声は、先程のドスの利いた重々しい雰囲気とは一線を画し、いつものアリオストの声だった。アリオストはすり寄ってきたティーナを抱え、あやしていたが、相変わらずリーアの顔は恐怖に歪ませたままなのであった。


 ティーナは無事、家族の元へ帰された。アリオストが誘惑して頭金むしりとったらしいという美人の夫人は、アリオスト達に対して恭しく礼を述べた。アリオストはいつものヘラヘラとした顔だったが、リーアはといえば、事が済んだにも関わらず、顔面蒼白で、それはまるで労咳患者のようであった。
 ライネルの町までの帰りの道中。ツォーレの村までの行きの時、あれだけ勝気で明るい様子を見せていたリーアが、アリオストと一言も言葉を交わす事はなかった。そんなリーアを、アリオストは全く気に留めていないようだった。仕方ないと納得しているのか、不甲斐ないと呆れているのか、両方か、その紅蓮の瞳からは窺い知れようもなかった。


 これが、本来の傭兵の仕事。
 傭兵になって以降、ぬるま湯に浸かっていたリーアにとって、あまりにも過酷な現実。同胞を殺され、父を殺された、あの凄惨な様子を目の当たりにしたゆえに復讐を決意したはずが、その復讐に恐れを抱いてしまったようにも見える。
 やはり、アリオストの言う通り、こんな仕事からは足を洗うべきなのか。
 リーアは葛藤した。あの時の男の、「過去を忘れ、幸せに生きるもまた運命」という言葉が心に染み入り、それはまだ十代の半ばほどの少女にとっては甘美な誘惑に他ならなかった。
 葛藤、葛藤、葛藤――。
 アリオストが手配してくれた、ライネルの町のとある宿屋の一室にて、ベッドの枕に顔を埋め、それを流れ出る涙で濡らした。


 一夜明け。
 アリオストとリーアは、宿屋を出た。リーアの目は、充血していて真っ赤だった。泣いて一晩過ごし、ほとんど寝ていないようである。
「で、どうする?」
 不意にアリオストがリーアに問うた。
「どうする、って?」
 リーアの声に覇気はない。
「いや、リーア、君、傭兵を続けるのか?」
「…………」
「復讐なんざ忘れて、傭兵業から足洗って、どっかの町なり村なりで平穏に過ごすか?」
「…………」
「黙っていちゃ分からねーだろが、ったく」
 アリオストは頭を掻いた。
「……アタシ……」
「?」
「その答えは、もう少しアリオストさんと旅を続けて、見つけ出す事にするわ。決断を下すにしては、アタシはまだまだ未熟だし、子供だもの」
「フゥン」
 リーアの精一杯の答えに対し、アリオストは生返事を放った。
「よし。んじゃ、しばらくはリーアを鍛えるための旅路だな。俺も元々目的なんざ何もなくフラフラしてるっきりだったから、気合いが入るってもんだ」
「アリオストさん……」
「ってな訳だから、また傭兵ギルドで仕事探しだな! カーッ!」
 アリオストは背伸びし、親父臭い叫びを上げた。
 リーアも、これでようやくスタートラインから抜け出せたであろう。
 復讐の相手――それは、彼女の目の前にいる、アリオスト・シューレンという男なのだろうか。いずれにせよ、リーアのこの目的を果たすまでには、まだまだ遠い道のりなのであった。
スポンサーサイト

category: 小説

コメント

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://ryuknight.blog119.fc2.com/tb.php/1032-25d3cb29
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

FC2投票

FC2投票

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

QRコード