激・桃隆の徒然なる日記&雑記

日常の話やら趣味の創作の話やらを徒然なるままに語っていきます。

 

紅蓮の死神 ~Bright Red Death~ 2.剛雷の狂犬(前) 

また間が空いてしまいましたな……。久々のコレです~。
路線変更の結果とはいえ、リーアが悲惨な事になっています。出番的意味で。
この章はアリオストメインになりますかね。
あと、今回登場する新規のキャラ、
前々からアリオスト物語の設定に存在しているキャラなんですが、
勘付く方いらっしゃるかなぁ……如何せんほとんどオープンにしていないしなぁ。

書いていて、何かRPGのストーリーを
まんま文章にしているだけなような気がしてなりません。
いくら物書きよりツクーラー歴の方が長いとはいえ、マズったか?;

ともあれ、どぞ!


 雲一つない、快晴と呼べる蒼天。穏やかな風が吹き、木々の葉が擦れ合う、大自然の明媚を感じ取られ、虚空の彼方にいる神々の機嫌の良さが窺えた。
 だが、何をもって神々は機嫌が良いのだろうか。それはきっと、人間以外の生きとし生ける者のみに向けられていると思われてならない。
 人間というものは、欲望を満たすために犯し、金の為に殺すという、この世に存在する生命の中で唯一つの〝モノ〟なのである。神にとっては、無数に存在する生命の中で最も排除すべきと思っているかもしれない存在なのだ。そんな人間という〝モノ〟に何故慈悲を与えるのか。いや、ないであろう。人間は、生存競争のヒエラルキーの頂点に君臨しているという傲慢により、世界を身勝手な行いによる血で濡らしているのだから。
 何故、人は生きている? 何故、人は死んでいく?
 太古の昔より、世の哲学者はその真理を追究していた。だが、人が知性を持ってから数千年経っても猶、その答えは見つけ出せていない。人の歴史が紡がれる時の中にいる以上、その答えなど見つけられようもないのだ。
 この山の中に、血で塗れた大剣を持つ男がいた。目の前には人間の惨死体が数体。その人間は剣を握っていた事から、多少は抵抗したと見受けられる。しかし、大剣を持った男に怪我の痕は見られない。この筋骨隆々とした男に、この大剣によって斬られたからには、十中八九即死だったであろう。
 男の後ろには、ガラの悪い男が数人いた。そして、まるでハイエナの如く、男が殺した数人の死体に群がって、金品を物色していた。
「お、コイツ、八〇〇ゴールドも持っていやがったぜ?」
「食料も仰山あるな! へっへ、いいカモだったぜ!」
 この旅人達を殺した張本人は、耳の穴をほじくりながらその様子を眺めていた。
「しっかし、オレ達もツイていたよなぁ、まさかこれほどの腕を持った傭兵をたまたま雇えてよ」
「もしかすれば、オレ達の『シマ』を広げられるかもしれねぇぜ?」
 下卑た笑いを浮かべながら死体を漁って金品を物色している輩達を眺めながら、大剣を持った男は深い溜息を吐いた。
(金なかったとはいえ、オレも山賊団の用心棒の仕事をする羽目になるたぁ、堕ちたモンだぜ……)
 男は、耳の穴から指を離し、息を吹いて、僅かばかりの耳くそを空に薙いだ。
「こんな真昼間っから大収穫だったなぁ! この調子でどんどん行くぜぇー!」
「おい傭兵、テメェにはもっともっと仕事してもらうから、ついてきな!」
 脚を大仰に広げて歩く賊の後を、男は浮かない顔をしてついていった。
(ケッ、こんなザマ、アリオストに知られたらどんな顔されるかってんだ……)
 男は唾を木の根元に向かって吐いた。
 さて、神は、このような者達にも等しく陽の光を当てるなどとは、大層心外であろう。快楽の欲望を満たすために、犯し、奪い、殺すのは、人間という生き物だけなのだから。
 この日もまた、大地が鮮血に染まる。その紅き血は、たとえ神が涙を流そうとも、拭えない罪業の証なのだ。


「もーーーーーーーーーーーーっ!」
 ライネルにある某喫茶店内の一角で、リーアは突如、不機嫌を顕わにした叫び声を上げた。
「ん? どうした?」
 他人事のような言葉を発するアリオストに対し、リーアはキツく鋭い目で睨みつけた。
「あのねっ! せっかくアタシを心身とも鍛える旅が始まるかと思ったら、ここ一ヶ月以上この街に留まって、安い仕事をひたすらこなす金稼ぎってどーいう事なの!?」
 リーアの辛辣な言葉に、アリオストは、
「すまんすまん、如何せんこの街のありとあらゆる酒場のツケを支払わなきゃならんもんだからなー、ハッハー……」
 と、冷や汗を流しながら力ない笑みを浮かべた。
「アリオストさん……あなたって本当、凄いんだか凄くないんだか分かんないわ……。アリオストさんがこの街にいるって聞きつけた酒場のマスター達が一斉に傭兵ギルドに押し掛けてきて、アリオストさん、『ツケならここでしばらく仕事をして稼いで返しますから許してくださいお願いします』とか言って情けなく土下座し倒したって、もう、呆れる以外の何だってのよ……」
 リーアの言葉に反論の余地などないアリオストは、ひたすら心の中で「ごめんちゃい」と呟く他なかったのであった。
「……ま、この街の用心棒の仕事程度だったら、アタシでも大分出来るようになってきたけど……」
「そ、そーだろそーだろ!? 経験値稼ぎならうってつけだろ!? 精々ゴロツキや酔っ払いをシメる程度の仕事だからよ!? な、なっ!?」
 このようなアリオストの咄嗟に思いついた弁明に、リーアはジト目をしながら、はいはいなどと軽い相槌を打つしか対応のしようがなかった。
「まー、でも、リーアも成長したもんだなー。俺と君の出会いって、君がゴロツキに絡まれていたところを俺が助けてやったところだったのに、そんな君がゴロツキ相手に互角で渡り合えるようになったんだからさ」
「微々たる成長ってところかしら。アタシも早く賊退治ぐらいは出来るようになりたいわね」
「そのためにも、俺の酒場のツケ返し、頑張ってくれよなー」
「うーん……一応理に適っているとはいえ、腑に落ちないわ……ハァ」
 リーアは注文してあったサンドイッチを頬張り、飲みこんだ。
「そんな訳でアタシはこの街の用心棒の仕事をしてそれなりに過ごしているけど、アリオストさんの方の仕事はどうなの?」
「んー……」
 アリオストはブラックコーヒーを嚥下し、目を細めた。
「……ちょいと、厄介な仕事が入った」
「え?」
「ここから北にあるザムール山脈に、前々から山賊が出没しているらしくてな。初めのうちは大した事なかったみたいなんだが、最近になって急速に勢力を拡大しているらしい。で、そいつらの退治を依頼された」
「ふーん。でも、山賊ぐらい、アリオストさんの敵じゃないんじゃない?」
「そうだといいんだが、な。どうやら、相当凄腕の用心棒を雇ったらしく、小さな村だったらソイツ一人で半日もあれば壊滅させられるらしいんだよな。実際、ギルドの方にもそういった情報が入ってきている」
「え……」
 リーアの顔が青ざめた。それは、ただ単に恐怖ゆえなのか、それとも自身の過去を思い出したからなのか。
「俺の他にそういう芸当が出来るほどの戦士なんて、そうはいない。となると、もしかしたら、俺とゆかりのある輩じゃないか、ってな」
「アリオストさんと、関係のある人?」
「ぶっちゃけ、到底君の手に負える相手じゃない。大人しくここで数日過ごしてくれ」
「…………」
 アリオストがここまで言うほどの凄腕の相手とは一体何者なのか。リーアは完全に震え上がってしまったが、アリオストの方はといえば、
「ま、その分、報酬も大分弾んでくれるみたいだから、これだけで酒場のツケを全額返済できるどころか、釣りが返ってくるぜ。ハハハー、ようやくこの街で酒を気兼ねなく呑めるようになるとなりゃ、頑張るしかないな!」
 と、先程までの渋い表情が嘘かのような楽観ぶりだった。
「さて、しばらくぶりの休みはどうだった、リーア?」
「うん、仕事中はずっと気を張り詰めてばっかりだったけど、アリオストさんと久々に話ができて、少しリラックスしたわ。アタシはアタシで仕事を頑張るから、アリオストさんも死なない程度に頑張ってね」
「この俺が死ぬようなタマだと思ってんのか?」
「そういえばそうね」
「さ、下宿先に帰って休みな。明日からまたハードだぞ?」
 下宿先――見かねたギルドのマスターが、アリオスト達の為に、コネで貸してくれた部屋の事である。無論、アリオストとリーアの部屋は別々だ。
「うん、途中まで一緒に行きましょ」
「ハイハイ」
 喫茶店での飲食代はアリオストが全て負担する事になって、勘定を済ませたら、二人はその下宿先とやらに向かっていった。
 軽かったり重かったりしたアリオストの雰囲気だったが。
(リーアにゃああ言ってぼかしたが……リーアも一応傭兵だったら知ってるだろうな、〝剛雷の狂犬〟の二つ名を持つ傭兵の存在ぐらい。こいつぁ一筋縄じゃいかなそうだ。ってかアイツ、山賊団の用心棒とか、何やってんだよ、馬鹿野郎……)
 アリオストを心中複雑な思いが支配し、それをリーアに悟られまいと、口笛を吹きながら軽い足取りで歩くのだった。


 数日後、アリオストはライネルより遥か北にある、ザムール山脈の麓の村に着いた。しかし、その様子はあまりにも凄惨であった。地面という地面に血が染み付いており、それは残虐な山賊団との戦いの痕跡であろう。村には地下壕にでも隠れてかろうじて一命を取り留めたと思われる、僅かに残った村人がおり、簡素に作った墓を拝みながら啜り泣いていたり、完全に気力をなくして項垂れていたりなどしていたのだった。
「チッ……こりゃひでぇな……。山賊どもの被害にあった村がここだけじゃないとは、一刻も早くシメ上げなけりゃならんか……」
 アリオストは村の中を歩き、一人の老人に声をかけた。
「おい、じいさん」
「!」
 老人は刹那のうちに震え上がり、声にならない叫びを上げて、まるで自身の死を覚悟した程であった。
「安心しな、俺は敵じゃない。あんたらの村をこんな風にした諸悪の根源を何とかする為に雇われた傭兵さ」
 そう言ってアリオストは老人の恐怖心を和らげようとした。それでも怯えていたようだったので、完全に敵意などない事をアピールするために、腰に携えていた剣を鞘ごと外し、地面に放った。結果、何とか老人の精神をある程度安定させることに成功し、ようやく話を聞ける状態まで持って行けたのであった。
「あなたが……私の息子達の仇を取ってくれるというのかね……?」
「ああ、約束する。……この村は、ザムール山脈に巣食う山賊によってやられたんだよな?」
「……ええ。初めのうちは、私の息子達が所属していた自警団だけでも何とかなっておりました。ですが、先日、僅かばかりの賊が引き連れてきた、大きな剣を持つ男が来た途端、事態は一変しました。あの男によって、村の若い男衆は全員殺され、逃げ損ねた一部の女性達も賊によって呆気なく攫われてしまいました……。生き残ったのは、あの男をを見た瞬間に地下壕へ避難した、一部の女子供、そして老人だけという有様なのです……」
 老人はさめざめと涙を流した。
(アイツほどの戦士だったら確かにこれぐらいの芸当はできるだろうな……。このじいさん相手だって、隠れる前に殺そうと思えば殺せただろうが、それをしなかったのは、好き好んであのような兇賊に手を貸してないからってとこか。ったく、反吐が出る!)
 アリオストは、老人から顔を逸らして舌打ちした。
「気を付けなされ、若人。しかし、あのような男相手に、あなたお一人で本当に大丈夫なのかね?」
 アリオストは満面の笑みを浮かべ、
「大丈夫さ。俺はそこいらの傭兵とは格が違うんでな」
 と言い、放ってあった剣を再び腰に携えた。
 それから、アリオストと老人のやり取りを見ていた、生き残りの村人が一斉に集まり、
「どうか……どうか、夫の無念を晴らしてください……!」
「頼りにしています、戦士様!」
「がんばってね、つよそうなお兄ちゃん!」
「どうか、娘を助け出してくださいませ!」
 などとアリオストに対し矢継ぎ早にエールを送った。
「フッ、任せな。この〝紅蓮の死神〟アリオスト・シューレン様にかかれば、山賊如きただのザコだってことを証明してやるぜ!」
 村人から歓声が飛んだ。アリオストは、そんな村人からの期待を一身に背負ったのであった。
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category: 小説

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