激・桃隆の徒然なる日記&雑記

日常の話やら趣味の創作の話やらを徒然なるままに語っていきます。

 

一日遅れの嫉妬と主従の日 

昨日は嫉妬の日にして主従の日でした。まーたタイミング遅れた><
嫉妬と主従といえばジェストとレアーネぐらいしか思い浮かばず、
そんな訳でSSを執筆してみました。
小説とか書いたのどのくらいぶりだろう……。
特にヤマもオチも意味もないですが、続きよりどぞー。


拍手どうも有難うございました!


 夜の帳が下り、宵闇が支配する静寂の空間。空に瞬く星々は、そんな漆黒に満ち満ちている中のせめてもの光という、神が与えた一縷の良心かもしれない。
 辺りは木々が生い茂っている。一日のうちに森を抜けきれず、一晩をここで明かす事になったのだ。ここは空を普通に見渡せる、開けた広場である。
 今は何時ぐらいだろう。カルン殿は既に寝息を立てている。子供は気楽なものだと一瞬思ったが、カルン殿とて、自分の故郷が焼かれたという現実、その所業をしたのはカルン殿自身が夢見ていた王国騎士という現実は、相当な衝撃であったはず。それは、カルン殿の父親であるジェスト殿から聞かされている。事実上裏切ったものだが、わたしとて一応王国騎士だった、複雑に感じないわけがない。
 それ以上に、わたしも一生消える事のない心の傷を抱えたのだが――。
 同時に、この湧きあがってくる感情は何なのだろうか。アルヴェスタへの深い憎しみかもしれないと思ったが、それとはまた違う、胸に棘が刺さるような感触なのだ。
 何か、ジェスト殿を一目見たときの胸の痛みに似ている。
 わたしはあのとき何を感じたのだろう。それも、アルヴェスタによって奪われた記憶とでも言うのだろうか。
 ……眠れない。
 ジェスト殿は火の番をしている。そんなジェスト殿の方を見遣ったら、何やらコートのポケットをまさぐっていているようだった。
 彼が取り出したのは、煙草のケース。
「レアーネ殿、煙草は苦手かな?」
 どうやらわたしを気遣っているようだった。
 煙草については別にどうとも思わない主義のわたしは、
「ジェスト殿は煙草も嗜むのですね。意外でした。どうぞお構いなく」
 とだけ軽く返事をした。
「普段は全く吸わないんだけどね。まぁ……たまに、気分を落ち着かせたいときだけさ」
 焚火で煙草に火を付けたジェスト殿は、それを口で吸って、吐いた。かすかに吹き抜ける風が、煙草の煙を彼方へと流す。
 そして、ジェスト殿は空を見上げた。その瞳は、エメラルドグリーンの色で澄んでおり、光る星々がそれに映る。
「やはり……ジェスト殿達の故郷を焼き払ったアルヴェスタ達の事を考えると、どうしようもない怒りが湧いてくるのでしょうか」
「…………」
 その沈黙は、肯定のようにも否定のようにも感じられた。
「あぁ。俺はあの男が憎い。だから復讐のための旅をしているんだ。ただ――それでも、焼かれた故郷は、村のみんなは、帰ってこない」
 ジェスト殿は再び煙草を咥え。
「妻が死んで、そのときどんなに願っても、彼女は帰ってこなかったように……」
 些細な音でかき消されてしまうかのような、儚い声だった。
「まだ妻が生きていた頃、今のような夜に、夫婦二人で星空を見上げながら語り合ったのさ。俺と妻が生きているというこの時も、いずれできるであろう子供の成長を見守る時間も、きっとこの星の瞬きのように一瞬のうちに過ぎ去るだろう、とね」
 このように語るジェスト殿からは、亡き奥方への深い愛が感じられた。
 人の一生というものは、恒久に流れていくであろう『時間』という概念の前では、確かに星の瞬きの如く一瞬のものなのかもしれない。ただ、苦しいことばかりでも、悲しいことばかりでも、生きているこの今は何と奇跡で、愛おしいものなのか。
 わたしは気付いた。今のこの胸の痛みは、嫉妬なのだ。そして、ジェスト殿を一目見たときに感じた胸の痛みは、恋の始まりだったのだ。
 どうしようもない想い。きっと叶わないであろう想い。嫉妬というしがらみは、わたしを苦しくさせる。
「……レアーネ殿?」
 ジェスト殿の語りかけで、わたしは我に返った。
「な、何でもありません!」
「?」
 ムキになって叫んだ言葉は、嫉妬心のごまかし以外の何があろうか。
「ま、まぁともかく、レアーネ殿も早くに寝るんだ。俺は一晩寝ないぐらい平気だからさ」
「…………」
「ハハッ、仮にも子供がすぐ傍にいるのに、君を襲うとでも思うのかい?」
「!」
 冗談とは分かっていたが、つい顔を紅潮させてしまい、わたしはそのまま布に包まった。
「……ふぅ」
 ジェスト殿はまだ煙草を吸っているようだった。
 二度と帰ってこない大切な人を想う気持ちは、生きている間、ずっと続くものだ。たとえ肉体が朽ちるまでの時間は一瞬でも、想いは永遠に続くのだろうと、人という生き物の力を感じる。
 わたしは目を閉じ、夢の世界へと誘われていった。
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category: 小説

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