激・桃隆の徒然なる日記&雑記

日常の話やら趣味の創作の話やらを徒然なるままに語っていきます。

 

幸福と辛苦ののアンビバレント<4> 

さて、一ヶ月以上ぶりのコレでございます。
この筆不精っぷりは何なんですかねホントもう……orz
今年中に完結させられそうもないです……情けないことに(;´Д`)

今回は、君くれゲーム本編に登場するキャラも文中に登場します。
ゲームをプレイしてくださった方ならニヤリと出来る……といいなぁ。
じれったい展開が続いておりますがご容赦をー。
では、本文は続きよりどうぞ!


拍手どうも有難うございました!


 翌朝になった。日の出とともに目を覚ますということは、人間の本来あるべき姿である。
 だが、ルードは。
「…………」
 朝日が煌々と照らす中、平気で夢の中にいた。
「…………」
 一体何時になるであろうか。少なくとも、朝の食事の時間にするには既に遅いという時間帯である。
「……ん?」
 やっと目を覚ました。しかし、眠気で朦朧としているようだ。
「随分と長く眠っていたような気がする。だが、まだ眠いな……。ていうか、何時だ?」
 ルードは部屋にある振り子時計を確認した。
 刹那。
「ま、また寝すぎた……! これで一体何度目だ!」
 ルードの密かな悩みは、朝に滅法弱いことである。宿屋に泊まっても、チェックアウトの時間ぎりぎりまで平気で寝ていることも珍しくない。今回は、本来の朝食の時間をぶっちぎりで過ぎていた程度で済んだのだが。
「し、食堂はまだやっているだろうか……昨日あれだけ食べたのに、腹が……」
 この醜態を窺う限り、《漆黒の修羅》と名を馳せる凄腕の美剣士、と言われても説得力皆無であろう。
「……とりあえず食堂に行こう」
 ルードは寝間着から着替え、身だしなみを整えてから、宿屋内の食堂に行くことにした。長髪を寝癖一本もないように丹念に整える辺り、少しナルシストも混ざっているかもしれない。


「あー……」
 案の定、食堂はガラガラであった。的外れな時間にやってきたルードを、給仕の人間は驚くように見遣った。
(チッ……人をこうも憐みの目で見るとは……。たかが大寝坊しただけだというのに)
 とりあえず、ルードはカウンターまで行って、パンとサラダ、ベーコンエッグを注文した。
「まいど! 寝坊も程々にしなよ、にーちゃん!」
「クッ……」
 最早同じ事をこれまでに一体何度言われたか知らず、ルードはぐうの音も出なかった。
「ふぅ……人はどれだけ同じ過ちを繰り返せば気が済むのだろう……これも世の摂理か……」
 シリアスなことを言って自分を奮起させようとしたルードだが、この場で言ってもただの痛い人間の痛い台詞以外の何物であろうか。
「ハァ……食べるか……」
 席に着き、パンにマーガリンを塗って食べ始めた。
 その時。
「おっ? お前、ルードじゃね?」
「!」
 ルードの視界に、彼にとって旧知の仲である男の姿が入った。大柄な体格、厳つい顔つき、豪快な喋り方――。
「マリウ!?」
「いよっ! お前もこの村に来ていたとはなぁ~」
「……奇遇だな」
「全くだぜ。ていうか、この時間にようやく朝食か? お前、また寝坊したな?」
「言うな……気にしているんだ……」
「ハハッ。オレは、朝食だけじゃどうにも足りなくて、ちょいとスイーツでも食おうと思ってこの食堂に来たんだ」
 マリウの手には、ショートケーキを盛った皿があった。
「マリウ、お前もこの宿に?」
「おぅ、今日が出立日なんだがな」
「俺は昨日来たばかりで、一週間ほど滞在する予定だ」
「へぇ。ってことは、入れ違いってやつか。せっかく久々に会えたのによ」
「そうだな」
 よっこらしょ、とマリウはルードの向かいの椅子に座った。
「……お前も一緒に食べるのか」
「まぁいいじゃねぇか、一人で食べるよりは美味くなるだろ」
 マリウもまた、フォークを手に取り食べ始めた。
「カミーユは元気か?」
「ああ、バリバリだぜ。この間も一戦交えたんだが、あと少しのところで負けちまった。あ、オレの方がな」
「そうか、なら何よりだ」
「カミーユを気遣っているのか? お前もフェミニズムだなぁ」
「そんなつもりはない。アイツのことは、一人の戦士として見ているんでな」
「ハハッ、ルードも女たらしのクセに、カミーユだけは女として見ないとはなぁ。アイツ、そんなに男勝りだったか?」
「男勝りかどうかはともかく、俺は別に女たらしではないつもりだが」
「ケッ、お前みたいなハンサム野郎が言っても説得力ねぇよ」
「……単なるやっかみか」
「るせー!」
 お互い、ナイフやフォークを使って食べながらでの会話だ。
「……なぁ、ルード」
「何だ」
「《若き三星》と言われているオレらの人生、果たして幸せなのか、ってな……」
「は?」
「や、オレなんかが言ってもアレだと思うが、もう武器なんか捨てちまって、こんな感じののどかな村で、普通に嫁さん娶って農業でもしながら暮らすってのも悪くないよなぁ、と最近思うんだ」
「…………」
「もう大分前から殺戮を生業としてきているが、何か最近、そんな人生に疲れてきてるんだよ。オレだけか?」
「少なくとも、俺は今の生業のことは別にどうとも思っていない」
「そうか? オレは、お前も疲れているんじゃないか、と思うんだがなぁ」
「何を根拠に?」
「根拠ってか……少し前と比べて、何か柔らかくなった感じがしてくるんでな」
「柔らかい?」
 ルードはふと、昨日助けた少女であるステラの顔が脳裏に過ぎった。
(何故、今あの女の顔を思い出すんだ……?)
 複雑な感情になってきたルードは、整った髪の毛を毟った。
「ふぅん。動揺してるってことは、思い当たる節があるみたいだな」
「お前の気のせいだ」
 少しでもこの感情をごまかそうと、ルードは無性に食べ物を頬張った。
「ハァァ~、お前の事はともかく、オレにも運命の女性っていねぇかなぁ~……」
「この世界中を巡れば一人ぐらいはいるんじゃないのか?」
「グヌヌ……この上から目線……!」
 マリウは溜息を吐き。
「ま、いっか。お互いの人生に干渉し合うのもアレだしな」
「…………」
「それはともかく、ごちそうさん、と」
 お互い完食したところで、二人はトレイをカウンターに返し、食堂を後にした。
「オレはもうこの村を出るつもりだが、お前は?」
「軽く村の観光でもして時間を潰すつもりだ」
「へぇ。ま、オレらも荒んだ生活をしている身だし、たまには癒されろよ!」
「ああ」
「じゃ、また戦場で会おうぜ!」
「…………」
 マリウはこののどかな村を去っていった。だが、ここから数年の月日、マリウと全くの音沙汰なしになるとは、この時のルードは露ほども思っていなかった。再会の経緯は、また別のお話である。


 太陽が煌々と照りつけるのどかな村。ルードは、その澄み切った空気を吸った。五臓六腑に沁みわたる、綺麗な空気だ。
(……アイツは)
 ルードはまたもステラの顔を思い浮かべた。
(こんな心地いい空気を今まで吸ったことがなかった人生だったのか……?)
 それを想う彼自身もまた、戦場の血生臭い空気を散々吸ってきている身である。
 これは、ステラへの同情なのか共感なのか。
 ないし、それ以上の感情が芽生えつつあるのだろうか――。
「クッ! バカな……」
 ルードは首を横に振った。

〝ルードさん、やっぱりいい人だったんですね!〟

 俺は、そんな褒められた人間なんかじゃない……。
 いい人、だと? 俺を何者か知っていて言っているのか?
 俺は、人殺しを、生業に――。

「胸糞悪いな……」
 それは、自虐であった。
 やはり、ルードの中で何かが変わりつつあるのだろうか。
 ステラという少女と出会ってから、僅か一日だというのに。
「…………」
 ルードの足は、自然とジルの家へと運ばれていった。


 ステラは、ジルの娘が愛用していたカチューシャを頭に嵌め、気分が高揚していた。
「ステラちゃん、可愛いね~」
「エヘヘ」
 ステラのはにかんだ顔は、誰が見ても可愛かった。
「ルードさんが見たら、可愛いって言ってくれると思いますか?」
「分からんねぇ、あんな仏頂面をした兄ちゃんだしさ」
「うぅ……」
「ウソだよ! この姿を見りゃルード君も惚れるさね、あんたにさ!」
「え、え……!?」
「アハハ!」
 ジルは快活に笑い飛ばした。
「……ルードさん、本当に私に会いに来てくれるかな」
「来てくれるさね! ルード君を信じてやりなよ!」
「そ、そうですねっ!」
 ステラは今か今かと心の中ではしゃぎどおしである。
(ルードさん……)
 ルードの顔を頭に浮かべ、陶酔した。
 自分を、助けてくれた恩人。
 それに過ぎないのだが、彼女の中では仄かな想いが目覚め始めていた。家族的な慕情なのか、男性としての魅力に惹かれているのかは、まだ定かではないが。
 あの人なら、きっと――。

 トントン。

「!」
 ステラは、家の戸を開け放った。
「……!」
 目の前に、ルードがいたのだ。
「やっぱり、来てくれた……!」
「……一応、顔を見せるという約束だったんでな。それだけだ」
 感涙するステラを前に、ルードは渋い顔をしていた。
「ルード君! もっと気の利いた言葉をかけてやったらどうだい!」
「う……」
 ジルの叱咤に、ルードはたじろいだ。
「ねぇねぇ、ルードさん、私の髪型、似合っていますか?」
 顔を見上げるステラに、
「……悪くはない」
 とだけ、素っ気なく返した。
「ルード君!」
 またもジルが叱咤した。
「クゥ……怒鳴られても俺にはこれ以上言いようが……」
「ルードさん……」
「分かった分かった、悪くはないと言っているんだから、当然いい意味に受け取ってくれ……」
「ありがとうございます!」
 一喜一憂の激しすぎるステラのテンションに、ルードは頭を抱えた。
「それはそうと、そろそろ昼ご飯の時間だよ! ルード君も食べていきな!」
「いや、いい。そんなに腹は減っていないんでな」
「じゃ、ルードさんはこれからどうするんですか?」
「ある程度村の観光をしたら、宿に戻って寝る」
 その時、ジルが口を挟んだ。
「若い兄ちゃんが寝てばっかいるんじゃないよ? ステラちゃんとデートでもしたらどうだい?」
「は、はぁ!?」
「ねぇねぇ、やっぱり私達と一緒に食べながらお喋りしましょ! 一人でいるよりはずっと寂しくないはずですよ?」
「寂しいとか、はぁ?」
「さーさーお上がり! お腹減っていないんならコーンポタージュだけでもお飲みよ!」
 ルードはまたしても女性陣に気押され、結局ステラ達と共に過ごすことになった。
 食べて、喋って――。
 ルードは今までこういう時間の過ごし方をしたことがなかったのだが、不快と思うことはなく、不思議と心地よさを感じていた。
 マリウの言う通り、ルードの心に変化が訪れてきているようだ。
 ステラの存在、ジルの存在が、自然と彼の氷の心を溶かしていっている。それを、ルードは自覚しているのかしていないのかは謎だが。
 この日も、星々が空を瞬くその時まで、ステラ達と共にいたのだった。
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category: 小説

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