激・桃隆の徒然なる日記&雑記

日常の話やら趣味の創作の話やらを徒然なるままに語っていきます。

 

太陽 

やー、またも久々な小説です。
たかだか10KBの小説を生みだすのに一体何時間かかればいいんですかね、
筆力欲しいですねホント(;´Д`)

カトレアシリーズ、散々「説明不足」の評を賜っているので、
ちょっくら本気出して、説明不足な点を小説で補っていくスタイルでいきます。
……ゲーム作品の方に反映してバージョンアップすべきじゃないのか、
という説もありますが、すいません、労力半端ないので勘弁ですorz

そんな訳で、興味ございます方は続きよりどぞー。
ただし、カトレア2未プレイの方はネタバレ要注意です。
小説を書くモチベーションがここ数年サッパリ妖精という状況下だったゆえ、
クオリティ的に拙いところもあるかもしれませんが、
ご愛嬌ということでご勘弁頂ければと思います。
後で見返して粗が酷いと判断した箇所につきましては随時修正していきます。


拍手どうも有難うございました!


 退廃都市《ガベッジガーデン》の片隅にひっそりと佇む集合住宅の一角――そこに《始末屋》フェイシズ・ヘイルムハートと、彼の養女であるカトレアが、密やかに暮らしていた。《始末屋》という職業は、《ガベッジガーデン》の秩序を守るべき警察ですら手に負えない『悪』を成敗する、いわゆる裏稼業である。常に命の危険に晒される稼業な分、収入も相応に多い。家族二人がそれなりの暮らしをしていくには十分すぎるほど有り余っている。しかし、そのような生活は一体いつまで続けられるのであろうか。一家の主のフェイシズも、そんなに若くはない。体力を使うこの仕事も、いずれは引退しなければならないときが来る。それはカトレアも察していて、自身のこれから先の道を、まだいたいけな年齢にもかかわらず、考えているほどだ。
「フェイってば、まだ寝ているわ。そんなに仕事で疲れたのかな……」
 フェイシズは、歳を重ねるごとに疲労が取れにくくなってきており、オフの日はこの通り、カトレアがとっくに起きて料理や洗濯などの家事をしている間も泥のように眠っているという有様だ。
「……あーっ! 何これ、また新しいゲームディスク!? この間別のやつをクリアしたと思ったら!」
 闇に生きる凄腕の《始末屋》――というハードボイルドな肩書きからは大凡予想つかないであろうフェイシズの趣味はネットサーフィンにパソコンゲーム、こよなく愛するのは二次元の美少女、愛読書は男性向け恋愛ゲームの専門誌やいかがわしい雑誌、という、聞くだけで残念な臭いのするものである。カトレアは、そんな養父の趣味が理解できない――いや、もしかして自分を家に連れてきた当初の目的は?、という疑念すら仄かに抱いている。
「ホント、こういうところだけはリッシュの方が少しだけマシね、ハァ」
 リッシュ――フェイシズの《始末屋》仲間で親交のある、リッシュ・ステュアートという男性である。カトレア曰く「少しだけマシ」とのことなので、このリッシュという男もなかなかに性質が悪い。何せ、女と見ればすぐに飛びつく、チャラチャラとしたお調子者なのだ。当のリッシュはフェイシズの二次元趣味を馬鹿にしているところがあるが、正直五十歩百歩の世界である。
「……そういえば、今日はリッシュにアイリスと遊ぶ約束をしてたっけ。《始末屋》って、仕事が休みの日がそんなに被るものなのかな、ちょっと分からないけど」
 アイリスというのは、リッシュの仕事上の相方で、同じくフェイシズやカトレアと親交のある女性の《始末屋》で、フルネームはアイリス・ケルトナーという。戦場では息がぴったり合う、リッシュと相性のいいパートナーだが、オフでは行動に節操のないリッシュの手綱役を務め、しょっちゅうしばいている、適切な言葉で言うなら「姐御と舎弟」にも等しい関係だ。
「うーん、フェイ、まだ起きていないけどいいかな、勝手に出て行っちゃって」
 時計の針は間もなく午前九時半を指そうとしている。
「うん、いいよね、いいよね! どうせ今にのそのそと起きて、適当に食べて、ゲームで遊ぶんでしょ!」
 かつては貧民街で底辺の生活をしていたカトレアも、随分と文明的な生活に馴染んだものである。


「おっ、そこに可愛い女の子! おーいかのじ……グハァ!」
 待ち合わせ場所である時計台の下で、たまたま通りかかった一般女性をナンパしようとして、リッシュはアイリスに速攻でどつかれていた。
「あ、姐御……手加減したっていいじゃねーか……アイタタタ」
「フン、言っても分からない奴には思い切り殴るぐらいでちょうどいいんだよ」
「酷い、その理屈……」
 拗ねるリッシュを尻目に、アイリスは雑踏の中から見慣れた姿を発見した。赤髪の少女、カトレアである。
「リッシュ、アイリス! ごめんね、待った?」
「いやいや、気にしなくてもいいさ。アタシ達もさっき来たところだからね」
「カトレアちゃん、今日も可愛いね! 特にこの短いスカートがなかな……イデェ!」
 下心丸出しのリッシュに対し、アイリスは再び殴打という形で諫めた。
「アイリス、リッシュも悪気はないんだし、あまり乱暴にしないで、ね?」
「フフッ、アンタも随分と女の子らしくなったねぇ。でも、コイツは見た目がいいだけの性根が腐った男だ、異性交遊の勉強と思って適当にあしらうんだよ」
「し、性根が腐ったって……」
 リッシュを散々こきおろすアイリスに対し、カトレアは若干胸に刺さるものを覚えた。
「フッ……オレはいずれ《ガベッジガーデン》の歴史始まって以来の超絶イケメン王に君臨してみせるのさ。姐御の教育もそれの一環と思えば何のその!」
 何を言っているのか意味不明なリッシュを、二人の女性は呆れ顔で見つめている。
「戯言はどうだっていいよ、とりあえずプラン通り、アンタチョイスのカフェに行くんだろ?」
「ああ、最近目を付けたばかりの穴場スポットさ! チョコレートパフェが特に美味しいらしいから、カトレアちゃんも是非食べてほしいぜ」
「チョコレートパフェ……?」
 カトレアは、生物の根幹である「食」というものにすらまだ疎い模様だ。フェイシズがある程度知識を与えはしたのだが、甘味方面にはあまり頭が回っていなかったようである。
「あー……ま、行ってみりゃ分かるって! オレを信用してくれよ、な?」
「うん、そうね、そうだよね!」
 二人のやり取りを、アイリスは優しそうな目で見遣っていた。
「……リッシュも、ここで女の子を無下に扱うような真似をする奴じゃないだろうから、ま、ちょっとは見守ってやろうかね」
 リッシュに対して色々と悪態をついていたり乱暴に接していたりするアイリスではあったが、仮にも仕事上のパートナーゆえ、心からあくどい思いを抱いている訳ではないらしい。人との交遊を楽しんでいるカトレアに水を差す気もないと、アイリスは先を行く二人の後ろを付いていくのだった。もちろん、道すがらリッシュが女の子に声をかけようものなら、即刻蹴りを入れる準備は万全のようだ。


 リッシュが目を付けたという穴場の喫茶店は、穴場というだけであって客足はそんなにないようで、来店次第すぐに席を確保できた。リッシュとアイリスはホットコーヒーを、カトレアはリッシュお勧めのチョコレートパフェを注文した。
「ふーん、なかなかオシャレな店だねぇ」
「流れているジャズミュージックも雰囲気出してるだろ? いやー、こういう休日の過ごし方もいいもんだなぁ」
 リッシュとアイリスの雑談をさておいて、カトレアは見慣れない店の中をきょろきょろ観察していた。
「カトレアちゃん、そんなにカフェって物珍しいのかい?」
「うん、フェイと一緒に過ごすようになってから、外に出るってことがあまりなくなっちゃって……」
 カトレアのこの言葉に、リッシュとアイリスは何となく察した。
「んー……フェイも過保護だと思うけどねぇ」
「確かにそうだけどさ、気持ちは分からないでもねぇよ。オレ達が同伴するって約束でカトレアちゃんの外出を渋々許可した辺り、やっぱり《ヘラクレイトス》の一件を気にしてるんだろ」
 《ヘラクレイトス》――ほんのつい数ヶ月前まで《ガベッジガーデン》の裏社会を席巻していた、巨大マフィアである。フェイシズにまつわる人間関係のもつれに、カトレアが巻き込まれ、《ヘラクレイトス》の手によって危険に晒されたのだ。何事もなく助けられはしたのだが、フェイシズにとってはやや負い目になっているらしい。今はといえば《ヘラクレイトス》の脅威も落ち着き、かなり平和になったのだが、いつどこで再びどうなるか全く保証がないのは確かで、カトレアは完全にフェイシズの庇護下に置かれ、たまの外出もこういう状況という有様である。
「…………」
「カトレア?」
「やっぱり、もっと羽を伸ばしたいんだろうぜ。家に閉じこもりっぱなしってのもアレだしよ」
 カトレアは、不意に自分の手の平を見た。
「私、強くなるべきだよね。守られてばっかりじゃ、ダメだよね……」
 かつては泥水を啜ってでも貪欲に生きてきた。希望も何もなく、しかし『死ぬこと』だけは何よりも怖かった。確かに『幸せ』には渇望していて、フェイシズの家のベッドで初めて眠ったときは、会ったことのないはずの、父親と、母親と、兄弟に囲まれて談笑するという夢を見たのだ。
 今は、リッシュがいて、アイリスがいて、フェイシズがいる。彼らの大きな手の平に、カトレアは包まれ、人間としての生きる『幸せ』を手に入れた。
 赤い血潮が体を流れているのは、人間の本質だ。太陽を掴み取ってでも、生きていたいと願うのは、何らさもしい思いではないのだ。
 そう、生きることとは、強くなること――。
「…………」
「…………」
「あっ……ごめんね、そんなに暗い顔をしなくてもいいわ!」
 神妙な雰囲気になりかけたところを、カトレアは打破しようとした。
「……確かにそうかもしれないねぇ。でもさ、アンタはまだ幼い、しかもフェイに拾われてからまだそんなに経っていないだろう? そんなに焦ることはないと思うよ」
「オレ達に存分に甘えていいんだぜ? 他人行儀にならないでほしいな、カトレアちゃんとオレ達の仲だろ?」
「アイリス、リッシュ……」
 このような空気の中、それを払拭するかのように、注文したコーヒーとチョコレートパフェが運ばれてきた。パフェはリッシュの推薦通り非常に美味しそうなオーラを漂わせており、カトレアは思わず息を漏らした。
「わぁ~、美味しそう! いただきまーす!」
「さて、アタシもコーヒーを飲もうかね。……ふー、美味しいじゃないかい」
「だろ? いやー、リラックスするぜー」
「もぐもぐ、もぐもぐ……」
 三人は、モダンな喫茶店で休日の午前を満喫するのだった。


 《ガベッジガーデン》に住む人間は、富裕層・平民層・貧民層の三段階に分類され、フェイシズ達は平民として暮らしている。カトレアだけは、フェイシズに拾われる前は貧民層の人間として、色々と汚いことをして生きてきた。また、犯罪の多くは貧民街で発生しており、フェイシズ、リッシュ、アイリスの三人も貧民街で違法組織壊滅の仕事をすることが非常に多い。いくら潰しても、後から続々と湧いてくる治安の悪さだ。だからフェイシズ達も食べていけるのだが、何ともこれは皮肉である。人口の多くを占めているのも貧民層である現実から、《ガベッジガーデン(ゴミ溜めの庭)》と揶揄された呼称で、この都市の名前は定着した。仮にも人間を『ゴミ』とは、揶揄にしても性質が悪い。
 しかし、人間は貧困が極まると、ゴミはゴミらしく散っていくのだ、と悲しい運命を見出す。それはカトレアとて同じだった。フェイシズとの初対面のときは、自分を『屑人間』と称したほどには。
 人とは変わるもので、そんな彼女も、身も心も美しい――カトレアの花のように、今を咲き誇っている。だが、彼女一人だけでは決して咲けなかった。フェイシズと出会わなければ、きっとカトレアは、カトレアという名も持たず、散っていったであろう。そして、リッシュがいて、アイリスもいる。
 このまま、時が止まれば良かったのに――。
 あの頃の少女は、そう思っていた。


「カトレア、今、幸せかい?」
「え、何よ、突然」
「幸せって言ってくれなきゃ……オレの立場がねぇよ」
「うん……そうね……」
「……オレ、姐御の後押しがあったから、君の気持ちに気付いたんだ」
「…………」
「でもさ、オレ達……あの頃が一番楽しかったのかな」
「アイリスも、いたしね」
「ああ」
「……自分でも、不思議。何であんたのこと、好きになっちゃったのよ」
「こっちが訊きてぇよ。オレの、どこが良かったんだよ」
「……全部?」
「マジか」
「人を好きになる感情に、理屈なんか付けられないわ」
「へぇ、フェイも立場ねぇなぁ、ハハッ」
「もう……」

「リッシュ……私達のこと、しっかり守ってよねっ!」
「もちろんさ……って、え、え……?」
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category: 小説

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