激・桃隆の徒然なる日記&雑記

日常の話やら趣味の創作の話やらを徒然なるままに語っていきます。

 

涙を拭いて <1> 

有言実行、やっと重い腰を上げて、
フェイシズとカトレアの関係性の補足的エピソードを
小説として形にしていこうと思います。
タイトルは某サガの某名曲とは一切関係ありません。
ピクシブに投稿してみては、というアドバイスを以前頂きましたが、
ちょっとピクシブは1年ぐらい放置が続いていまして、
ピクシブに作品を投下するという行為に興味をなくしてしまったので、
申し訳ないですがいつも通りブログの方に投げさせて頂きます。
ただ、ブログ記事という形だと作品を遡りにくい、というのは確かなので、
今回より、原作作品のカテゴリ(今回の場合「カトレアの花が咲く頃に」)に
作品を投下していこうと思います。これで幾分か見やすくなるのではと。
……これ、私自身が「基本、小説は自作ゲームのセルフ二次創作しか書けない」
という謎の脳構造だからできる行為ですね(^^;

やー、カトレアシリーズについては書いてみたいお話がたくさん!
アイリスとリッシュの関係性のエピソード、ジェイルの過去、
リッシュとカトレアの恋の駆け引き、《プロメテウス》内部事情etc……。
……ええ、これ全部ゲーム本編内に入れるべきでしたね。
クリエイターとして未熟すぎますし全く訳分かりませんね私。
どうか温かい目で見てやってください(;´Д`)

さてそれはともかく、連載第一回目は続きよりー。


拍手どうもありがとうございました!


 君は、俺の娘だ――

 娘みたいなものなんだ――


「…………」
 少女カトレアは、自身を拾った男であるフェイシズ・ヘイルムハートの寂寞たる感情を悟って、複雑な気分でいた。
 自分は、こんな男のところに厄介になるつもりはない。機会さえあれば、こんな部屋から抜け出して、かつての日常に戻ろう――。
 そう、カトレアは思っていた。
 しかし、その「日常」とやらも、決して綺麗なものとは言えない。略奪と暴力が横行する、貧民街での「日常」。名すらなかった少女は、《始末屋》という闇稼業に生きる男の気の向くままに拾われ、名を付けられ、温かい情、人並の幸福を与えられた。それにもかかわらず、わざわざ汚い「日常」に戻る必要など、一体どこにあるのだろうか。
 それは、理屈では分かっていた。自分は、今までなかった「居場所」を与えられて、人に望まれて生かされているのだ。自身の存在を疎まれることはあっても、望まれることはなかった、そんな人生に光明が差したのだ。
 これを拒む道理が、一体どこにあろうものか――。
「あの人は……私を……」
 カトレアの胸が締まった。そして、知らないうちに涙が出てきた。その涙は温かく、決して苦しみや絶望から来る涙ではなかった。
「おはよう」
「!」
 カトレアは咄嗟に涙を拭いた。フェイシズという男に、まだ完全に気を許したわけではないようだ。
「昨日は見苦しくすまなかった、俺ならもう大丈夫だ」
「…………」
「カトレア? 泣いているのか?」
「! ち、ちがっ……!」
 怪訝にカトレアを見つめるフェイシズに対し、カトレアはつい強情になって顔を背けた。
「ふふっ、さて、カトレアもおなかが空いたろう、トーストとハムエッグを作るから、待っていなさい」
 やおらフェイシズはキッチンの前に立った。慣れた手つきで食パンをトースターに仕掛け、フライパンにハムと卵を乗せて焼くフェイシズの姿を、カトレアは呆けた様子で見つめていた。
 いい香りがしてきた。途端、カトレアの腹の虫が鳴った。
「そうかそうか、俺の耳に聞こえてくるほど大きな腹の虫とはな」
「う、うるさいっ!」
 カトレアは顔を真っ赤にしたのと同時に、口の中に唾が湧き出てきた。どんなに意地を張ろうとも、生物としての本能には逆らえないようだ。
 フェイシズはできあがったハムエッグを皿にやり、トーストと一緒にカトレアの目の前のテーブルに差し出した。
「さぁ、召し上がれ」
「…………」
 カトレアはおもむろにフォークを手に取った。ぎこちない動作だ。そして、ハムエッグを丸ごと口に放り込もうとした。
「待ちなさい!」
「?」
「食べ始める前に、まずは『いただきます』のあいさつからだ」
「『いただきます』……?」
「このハムは豚の肉で、卵はニワトリから産みだされたものなんだ。人というのは、食べるときに必ず『命』を『いただく』んだよ。それに感謝をこめて、『いただきます』というあいさつをするんだ。分かるか?」
 そんなこと全く考えたこともなかった、という顔をして、カトレアはフェイシズの目を見た。
「い、いただきます、と言えば食べてもいいの?」
「そうだ」
 面倒臭い……と内心思いつつ、
「……いただきます」
 と言って、カトレアはようやく食べるに至った。
「ほら、丸のみはせず、一口一口よく噛んで。頬張るな。それと、フォークの持ち方だが……」
 いちいち小うるさいおっさんだ、とカトレアは渋い顔をした。しかし、この男にはどうも逆らえない。怖いからとかそういった理由ではなく、これらの小言は、自身を人間らしくしていくための教えである、とカトレアも認識してきたからだ。
 小言をぐちぐち言われながら、カトレアは朝食をたいらげた。
「はい、食べ終わったら『ごちそうさま』だ」
「これも……命が云々とか、そういったやつなの?」
「要はそういうことだな。なかなか物分かりがいいじゃないか」
「フン!」
 カトレアはそっぽを向いた。
「いいから、あいさつは!」
 軽く叱るフェイシズにひるみ、
「……ごちそうさま」
 と、小声でボソリとあいさつを呟いた。
「ほらほら、最後は後片付け。洗い方を教えるから、お皿を持ってこっちに来なさい」
 先程から、カトレアにとって慣れない経験が続いている。皿洗いはフェイシズの教えを乞いながら渋々やったが、それが終わったと思ったら、カトレアは寝室へと走っていって、ベッドに突っ伏してしまった。
「……いきなり、色々と詰め込みすぎたかな。しかし、家から出ていく様子はないだけ、良かったと思わねば」
 フェイシズも寝室へと入り、カトレアに軽く声をかけた。しかし、返事はない。寝てしまったのか無視しているのかは分からなかったが、これなら安心だろうと、フェイシズは踵を返し、今度は自身の朝食を取ることにした。
「やれやれ、子育てというのは難しいな」
 フェイシズはそう嘆息し、焼きたてのトーストを口の中に入れた。もちろん、その前に「いただきます」のあいさつは忘れていなかった。
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category: カトレアの花が咲く頃に

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