激・桃隆の徒然なる日記&雑記

日常の話やら趣味の創作の話やらを徒然なるままに語っていきます。

 

涙を拭いて <3> 

約1ヶ月ぶりのこれです。誰も待っていないかとは思いますが!
長いように見えますが、ここまで書いてまだ14KBほどしかないので、
全然大したことありません(という私の感覚)
容量最高記録は、大昔書いた黒歴史小説「修羅の道」の約80KBです。
はい、どうでもいいですね(´・ω・`)
このシリーズももうちょっとだけ続きます。次の次ぐらいにオチがつくかな?
では、興味ございます方は続きより~。


拍手どうもありがとうございました!


 私は、あの人の、何なのだろうか

 あの人は、娘みたいなもの、と言った

 私は、あの人の娘の――代わり?

 本当の娘には、なれないの?


 カトレアの脳裏に、フェイシズの顔が掠めた。
「ねぇ、アイリス」
「何だい?」
「……私、あの人の気持ちを受け入れたい。だって、こんなに優しくしてもらったの、生まれて初めてだったから……人の温もりが分かったから……」
 涙を流すカトレアの目を、アイリスはそっとハンカチで拭いた。
「カトレア。アンタは、フェイの『家族』なんだよ」
「家族……」
「アイツも、長らく家族を欲しがっていたからさ。きっと、アンタに実の娘の影を重ねているのかもしれないね」
 かつては家族を持っていたフェイシズも、妻子を次々と亡くし、その責は自分にあるとがむしゃらに自身を追い込んでいた。しかしあの日あの時、何故名無しの少女に情を持ったのかは、フェイシズ自身もわかっていない。わかっていないが、これも運命の巡り合わせなのだろうか。
「……でもね」
「?」
「私は、代わりなの。本当の娘じゃないの。あの人は、私を通して、自分の娘を見ているだけなの……そうなんでしょ?」
「カトレア……」
 アイリスは、そっとカトレアを抱きしめた。
「家族というのはね、血の繋がりだけとは限らないんだよ?」
「それって……」
「確かに、カトレアはフェイの実の娘じゃない。でも、さ、情は通じ合っているじゃないか。親子の絆は、その〝情〟ってもんじゃないのかい?」
「情……」
「フェイだけじゃないさ。リッシュもいる、アタシもいる。みんな、アンタの支えになっている。アンタの幸せを、願っている……」
 ひとしきり思いを話した後、アイリスはカトレアを離した。
「フェイも、カトレアを拾ってまだ間もない。思うところはあるだろうし、アンタだってすぐにどうこうしろというのも心の準備が足りないだろうね。ただ、フェイとアンタの間には、確実に〝情〟が芽生えているように見える。それは、心に留めておきな」
「…………」
 そのとき、アイリスの携帯電話が鳴った。マナーモードにしてあったようで、バイブレーションによる感知だった。
「あ、ごめんよ」
 アイリスは席を立ち、カトレアと距離を取った。
「……あーはいはい、仕事ご苦労さん。……フェイ? まだ帰ってきてないよ。そうそう、どうせだし、アンタもこっちに顔を出しな。鍵だったら開けてある。ただし、カトレアに何かしそうになったら脳天に風穴開けてやるからね。じゃ」
 カトレアは、小さな機械に向かっていろいろ喋っているアイリスを見て不思議がっていた。携帯電話という存在や用途を理解していない模様である。
「何だい、きょとんとして」
「え、何していたの?」
「あー、電話だよ、電話。ていうか、アンタへの場合、電話というものは何か、から説明しなくちゃいけないかねぇ」
「う、うぅん、いいわ。頭がパンクしちゃう」
「……ま、追々、というところかね。それより、さっきの連絡はリッシュからでね、リッシュもここに来ることになったよ。……あ、エロ本について頼むのを忘れていたねぇ、やっちまった」
 アイリス、リッシュ、そしてフェイシズ。
 カトレアにとっての初めての友人、家族。
 カトレアは、リッシュの来訪、フェイシズの帰宅が待ち遠しくて仕方なかった。この高揚感は、カトレアのこれまでの人生を鑑みると、奇跡が起こったにも等しいようなものだ。
「何か、ドキドキするなぁ」
「そんなにリッシュが来るのが楽しみなのかい?」
「うん。あのお兄さん、面白いんだもの」
「そうかいそうかい、ハハッ!」
「……フェイシズさんも、早く帰ってこないかな……」
 刹那、アイリスの目が見開いた。カトレアが、初めてフェイシズの名を口にしたのだから。
「カトレア、やっとフェイの名前を呼んだね」
「! う……」
「そんな他人行儀じゃなくて、もっと砕けた口調で呼びなよ……とはいえ、いきなりは厳しいかねぇ」
「も、もう!」
 カトレアは顔を赤らめ、そっぽを向いた。
(ふふっ、素直になりきれないんだねぇ。ま、こんな短い間じゃ仕方ないか)
 アイリスはクスクスと笑った。
 そのとき。
「よぉ! リッシュ君、ただいま参上!」
 先程アイリスが呼びつけたリッシュが、カトレア達の元へやってきた。
「あぁ、随分と早いねぇ、リッシュ」
「早く姐御とカトレアちゃんの顔が見たくてさ~、めっちゃかっ飛ばしたぜ」
「…………」
 リッシュの来訪を楽しみにしていたカトレアだったが、いざ面してみると、発する言葉を詰まらせてしまった。
「まーまー、カトレアちゃん、そんなに固くならないでいいってばさ! それとも、照れているのかな?」
 リッシュは白い歯を光らせて語りかけたが、
「あ、あああああ、あんたなんかに、照れてなんていないわよ!」
 と、ついつっけんどんに接するカトレアだった。
「リッシュ、この子、随分とアタシらに馴染んできたみたいだよ。まだ素直じゃない部分はあるけどさ」
「おぅ、それはこの様子を見りゃ分かるぜ」
 リッシュは、着ているジャケットのポケットをまさぐりだした。
「んーと……ジャーン!」
「これは、トランプかい?」
「あぁ。カトレアちゃんに、ちょっとトランプ遊びを教えようと思ってさ!」
「ほう、気が利くじゃないかい」
 カトレアは、頭にクエスチョンマークが浮かんだ。
「……?」
「トランプってのはね、ハートとかスペードとかのマークの付いたカードを使って遊ぶゲームのことさ。カトレアも、ちょっとは娯楽を味わってみなよ」
「ふ、ふーん、よく分かんない……」
「ま、慣れりゃ面白いって! まずは王道としてババ抜きからかなー」
 カトレア、アイリス、リッシュの三人は、トランプ遊びを始めた。アイリスの頭からは、処分したというフェイシズのエロ本のことは綺麗さっぱり抜けさっていたのだった。
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category: カトレアの花が咲く頃に

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