激・桃隆の徒然なる日記&雑記

日常の話やら趣味の創作の話やらを徒然なるままに語っていきます。

 

涙を拭いて <4> 

さて、1ヶ月以上ぶりのコレです。遅筆もいいところですね;
しかも、どうしたって筆力が落ちている感がムンムン……グハァ!
如何せん昔に比べて全然書いていないですからねぇ……。

前回、あと2回程で終わりみたいなことを言ったような気がしますが、
ちょっとノリのままに進めていたら想定していなかった展開になっていったので、
あと1回ではどうしたって終わりません><
どれほどの方が読んでらっしゃるかは分かりませんが、
もうちょっとだけお付き合いくださいませ。では、続きよりどうぞ!


「ガーン、また負けたー!」
「アンタねぇ……いちいち顔に出すぎなんだよ……」
 ババ抜きを始めてから約三十分経ち、かれこれ五回以上ゲームをしているのだが、その全てがリッシュの敗北である。この男は、有利も不利も顔で察することが容易なほどすぐに表に出るのだ。アイリスはもちろん、カトレアでさえも読めるレベルである。
「うん、ババ抜きってゲーム、分かった! 面白い!」
 カトレアはすっかりゲームに興じ、楽しんでいた様子だった。
「姐御ー、ババ抜きもいいけど、カトレアちゃんに別のゲーム教えようぜー」
「そうだねぇ……他に分かりやすいゲームといえば……」
 そのとき、ドアノブに手をかける音が聞こえた。
「お、フェイが帰ってきたのかな?」
 そのリッシュの言葉に反応して、カトレアはドアを凝視した。
「ただいまー」
 そう言って入ってきたのは、紛れもなくこの家の主、フェイシズであった。しかし、カトレアは不意にそっぽを向いてしまう。
「ああ、おかえり。カトレアならこの通り元気さ。さぁ、カトレア!」
「ほらほらカトレアちゃん! フェイに『おかえり』は?」
 カトレアはアイリスとリッシュに促され、とりあえずはフェイシズの方を向き、目が合ったのだが、口から言葉が出てこなかった。
「うーん、さっきまであんなに明るかったのになぁ」
「仕方ない、俺にまだ警戒心を持っていてもな」
「アタシ達には大分素直になったのにねぇ」
 しばらく固まっていたカトレアだったが、
「わ、私、もう夜遅いから寝る!」
 と言って、寝室に飛んで行ってしまった。
「おい、寝る前にシャワーを浴びて、歯を磨いて!」
 フェイシズが叫ぶも、それはむなしい木霊となった。
「ってか、もうそんなに暗くなったのかよ」
「アンタが来た頃にはもう十分暗かったと思うがね」
「…………」
 フェイシズはおもむろに携帯電話を開いて、時間を確認した。
「21時ちょっと手前、か」
 その声は、どこかか細く、息の音と混じったものであった。
「……さて、アタシ達も帰るか。明日はあいにく仕事だ、そんなに夜更かしもできないし、こっちにも来れないよ」
「そういえばオレ、飯食ってねぇ! 姐御ー、頼む!」
「アンタもいい加減料理ぐらい覚えな! 生きていくうえでの基本だよ!」
 アイリスとリッシュは同棲しているわけではないが、油断すると不摂生な食生活を送るリッシュを見かね、よくリッシュの家に行っては彼のために料理を作ってあげている。アイリスの料理の腕前もなかなかで、リッシュはそんな彼女の料理が好きなのである。
「……そういえば、アイリスとカトレアは夕食を食べたのか?」
「いや、うっかりしていた、ごめんよ。カトレアもお腹空いているだろうにねぇ、フェイに対してだけは意地になっちゃって……」
「そりゃ、さ、いきなり『君は俺の娘だ』って言っても、あっさり受け入れるもんじゃないと思うぜ。警戒する方が自然だろ」
「…………」
 フェイシズの顔が翳った。
(……今日一日過ごした感じ、満更でもないはずだと思ったんだが、ね。多分、『娘の代わり』ってのが引っ掛かっているんだろうか……いや……)
 アイリスなりに思考を巡らせたが、結局「そう易々と今までの価値観が崩れるものでもない」というところに落ち着いた。〝あの時〟のカトレアの言葉や思いは、偽りではないが、正しくもない、澱みに満ちたものなのだ。
「姐御ー、飯ー!」
「うるさいねぇ! アタシはアンタの女房じゃないんだよ、全く!」
 気丈な女と軟派な男のやり取りを見ていたフェイシズは、
「……帰るのか帰らないのかどっちなんだ、ハァ」
 と、やや呆れ気味につぶやいた。
「あぁ、すまないね、今度こそ帰るよ」
「分かった、おやすみ」
「肉食いてぇ、肉! 姐御手作りハンバーグ!」
「飯の話をした途端にこれかい! 夜も遅い、今夜は簡単なもので済ませるよ!」
 騒がしい二人は帰っていった。アイリスは断固として否定しているが、やり取りだけ見れば普通に恋人として付き合っているような感じである。
「ふぅ」
 フェイシズはようやくくつろいだ。疲労ゆえか、かえって食欲が失せていて、あの二人と同じく夕食は簡単なもので済ますつもりのようだ。
 銀髪の男は、今は亡き伴侶、そして実の娘への思いを馳せた。もう戻ってこない、大切な家族。そして今は、家族を得たかと思いきや、それはまるで霞を掴むようなものなのかと、手は空(くう)の中でむなしく指を動かしただけだった。
 今も飾ってある写真の中の家族は、セピア色に輝いていた。
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category: カトレアシリーズ

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