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激・桃隆の徒然なる日記&雑記

日常の話やら趣味の創作の話やらを徒然なるままに語っていきます。

 

永久の想い 第一節 

あー、風邪は多少喉の痛みが残っている事以外はほぼ回復致しましたです。
一時期ティッシュをシャレになっていないぐらい使っていたので、
あの地獄を思えば今は全然平気、へっちゃら!……という次第ー。

さて、前置きはここまでにしまして、現在書きかけの小説の一部を晒します。
ていうか、サイトの「小説・漫画」コンテンツの存在意義がなくなりつつあるので、
過去にブログで発表したSSをHTML化して、いずれアップしようかなぁ、とかー。

拍手どうも有難うございました!


 僕の心をくすぐるこの感情は、一体いつ芽生えたのだろう――。


「エルアード坊ちゃま、紅茶をお持ちしました」
 自宅の書斎に閉じこもって、本業である魔術研究に精を出していたエルアード・ミスティルの元へ、彼に仕えているメイドであるヒルデ・リックブルーは、淹れたての熱い紅茶を持ってやってきた。
「あぁ、いつもありがとう。そこの机に置いておいてくれ」
「かしこまりました」
 乱雑に書物が積み重なっている机の上だって何のその、いつもの事と承知の上であるヒルデは、紅茶を乗せてあるトレイを片手に器用に整理して、決してカップが落ちる事のないよう適度にして見事なバランスで置いてのけた。
「ところで、ヒルデ」
「何でございましょうか?」
「いつものようにしておいてくれただろうな?」
 これを聞いただけでは何の事だかまるで分からないエルアードの一言であったが、ヒルデはすぐさま「いつものように」の内容を把握し、クスリと笑みを浮かべた。
「ええ、紅茶の中には角砂糖を三つ入れてありますよ。ご安心を」
「よし」
 返事をすると、エルアードは乱れた書物の山からむっくりと姿を現した。そして移動し、椅子に腰かけて甘ったるい紅茶を啜った。猫舌なのであろう、飲むスピードはチビチビずつで極めてゆっくりだ。しかし、紅茶が熱い事に対し文句を口にする事はない。
「うん、やはりヒルデの淹れる紅茶は絶品だな。並のメイドではこうはいかないぞ」
「わたくしが坊ちゃまの元にお仕えするようになってから、何年経っておりますでしょう。坊ちゃまの趣味嗜好はほとんど把握しておりますよ」
「ふむ……」
 エルアードは急に持ち前の天才頭脳を回転させ始めた。
「……十四年!」
「いいえ、違います。エルアード坊ちゃまが二歳、わたくしが四歳のときでしたから、十五年でございます」
「む、むぅ」
 ヒルデの方が一枚上手(うわて)だったという事実に、エルアードは生粋の高いプライドゆえの悔しさから、深く嘆息した。
「それよりも坊ちゃま、早くお飲みになりませんと冷めてしまいますよ」
「おおっと、そうだった」
 ホットティーは熱いうちが一番美味。それを熟知しているメイドならではの一言であった。エルアードはいそいそと紅茶を飲み進める。
 十数分後、カップは見事に空になった。
「ふぅー、これであと五時間は頑張れるな!」
「なりません。あと四時間後はディナーのお時間、それから三十分間の食後休憩を挟んでからは入浴の時間です。入浴の時間を四十分とすると……」
「あー、あー、小言は勘弁してくれ。要は規則正しい生活をしろという事だろう?」
「左様でございます」
「はいはい、とりあえず夕食まで研究中の魔術の解析をするから、部屋から出ていってくれ」
「かしこまりました。お時間まで本業に勤しんで下さいませ」
 ヒルデは空のカップをトレイに乗せて一礼すると、エルアードの書斎から立ち去っていった。
「ふぅ……」
 しかし、エルアードは本業を再開するどころかしばらく惚けていた。
「最近ヒルデと二人きりになると、何かどうも落ち着かないんだよな。ついこの間までは全然平気だったのに。全く、理解し難いものだ」
 さすがの天才魔術学者エルアード・ミスティルでさえ、己の心に芽生えているほのかな感情の正体が何なのか、解析出来ないでいる様子である。
 屋敷の廊下にて、ヒルデもまた惚けている。
「あぁ、坊ちゃまと顔を合わせるたび、冷静を装うわたくしを挑発するような衝動に襲われる、この感覚……」
 ヒルデの方はといえば、薄々感付いているようだ。
 お互いがお互いに「恋」をしているという事実に。
 時はエルアード十七歳、ヒルデ十九歳の、ある麗らかな小春日和の事であった。
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category: 小説

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